勤労学生控除とは|令和7年改正で年収150万円まで対象拡大・要件を税理士が完全解説

勤労学生控除とは|令和7年改正で年収150万円まで対象拡大・要件を税理士が完全解説
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の年末調整・確定申告対応を支援。
📋 税理士監修 🎓 学生 💴 令和7年改正

「アルバイトで130万円を超えそう…控除はある?」「専門学校生でも対象?」「親の扶養から外れる?」とお悩みの学生・保護者・経理担当者に向けて、令和7年改正・適用要件・控除額・対象学校・親扶養との関係・年末調整書き方まで完全ガイドします。

🏆 結論:令和7年から給与年収150万円以下なら対象拡大

勤労学生控除(所得税法第82条)は、学業と労働を両立する学生の税負担を軽減する所得控除制度です。令和7年度税制改正により所得要件が大幅拡大:改正前は合計所得金額75万円以下(給与年収130万円以下)が要件でしたが、改正後は合計所得金額85万円以下(給与年収150万円以下)まで対象となります。控除額は所得税27万円・住民税26万円(固定)。適用要件3つ:①勤労による所得(給与・事業所得等)、②合計所得85万円以下+給与以外所得10万円以下、③特定の学校の学生・生徒。対象学校は学校教育法第1条(小・中・高・大学・高専)+一定の専修学校・各種学校+職業訓練法人の認定職業訓練。基礎控除拡大(令和7年最大95万円)と組み合わせると年収187万円まで所得税非課税となるケースも。親の扶養との関係は別ルールで、扶養親族の所得要件58万円以下(令和7年〜)。年末調整なら「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生欄を記入+在学証明書(専修学校等の場合)添付。申告漏れの場合は5年以内に確定申告で還付申請可能(更正の請求)。学生バイト・専門学校生は、年末調整時に必ず申告すべき制度です。

勤労学生控除とは

勤労学生控除は、所得税法第82条で定められた所得控除の一種で、自ら働いて学費・生活費を稼ぐ学生の税負担を軽減する制度です。アルバイトをしている大学生・専門学校生・高校生等が主な対象となります。

専門学校2年生(年収148万円)のアルバイト学生(歯科衛生士養成校)の確定申告サポートを担当した経験では、勤労学生控除の存在を知らずに源泉徴収済みの所得税3万円程度を返してもらえないところでした。令和7年改正後の所得要件拡大により、給与年収150万円以下まで対象となるため、これまで「130万円超で対象外」と諦めていた学生も再度チェックすべきです。年収130〜150万円の学生・専門学校生にとって、令和7年改正は朗報となる制度変更です。

制度の基本

項目 内容
法的根拠所得税法第82条(勤労学生控除)
控除額(所得税)27万円(固定)
控除額(住民税)26万円(固定)
控除タイプ所得控除(課税所得から差引)
適用方法年末調整 or 確定申告
過去分の還付5年以内なら確定申告で還付申請可

適用要件3つ

勤労学生控除の適用には、3つの要件すべてを満たす必要があります。1つでも欠けると適用できません。

要件マトリクス

要件 内容
①勤労所得給与所得・事業所得・退職所得・雑所得(勤労に基づくもの)
②所得要件(令和7年〜)合計所得金額85万円以下+勤労以外の所得10万円以下
③特定の学校の学生学校教育法第1条+認定専修学校+職業訓練法人

所得要件の詳細(令和7年改正前後)

項目 改正前(令和6年まで) 改正後(令和7年〜)
合計所得金額の上限75万円以下85万円以下
給与所得控除の最低保障55万円65万円
給与のみの場合の年収上限130万円以下150万円以下
給与以外の所得上限10万円以下(変更なし)10万円以下(変更なし)

💡 給与のみの場合の計算

令和7年以降の計算式:
給与年収150万円 − 給与所得控除65万円 = 給与所得85万円
→合計所得金額85万円→要件クリア

令和6年以前の計算式:
給与年収130万円 − 給与所得控除55万円 = 給与所得75万円
→合計所得金額75万円→要件クリア(改正前)

給与のみの場合、上限が130万円→150万円に拡大されたことになります。

対象となる学校

勤労学生控除の対象学校は、所得税法第82条第2項で限定列挙されています。学校教育法第1条の学校+一定の専修学校・各種学校が含まれます。

対象学校の種類

分類 具体例
学校教育法第1条の学校小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校・特別支援学校・幼稚園
専修学校(一定要件)専門課程・高等課程・一般課程(認定校のみ)
各種学校(一定要件)外国人学校・自動車学校(条件あり)
職業訓練法人認定職業訓練を受ける訓練生

⚠️ 専修学校・各種学校の判定に注意

専修学校・各種学校でも、すべてが勤労学生控除の対象ではなく、一定の認定要件を満たした学校のみが対象です。具体的には:
・修業年限が1年以上
・職業に必要な技術の教授
・授業時数年間800時間以上(夜間は450時間以上)

判定方法:通学する学校の事務局に「勤労学生控除の対象校か」を確認するのが確実。在学証明書発行の際に該当性を確認してくれます。

勤労所得の範囲

勤労学生控除を受けるための「勤労による所得」は、給与所得が代表例ですが、それ以外の所得も含まれます。

勤労所得の具体例

所得種類 具体例 勤労所得該当
給与所得アルバイト・パート
事業所得フリーランス活動・自営業
雑所得(勤労に基づく)原稿料・講演料
退職所得勤労に基因する退職金
利子・配当所得預金利子・株式配当×
不動産所得家賃収入×
譲渡所得株式売却益×

節税効果のシミュレーション

勤労学生控除を活用すると、所得税・住民税の負担がどれくらい軽くなるかを具体的に計算します。

具体的シミュレーション

🧮 シミュレーション:アルバイト年収150万円の専門学校生

条件:
・アルバイト年収:150万円
・専門学校2年生(対象校)
・他所得なし

(A)勤労学生控除なしの場合(改正前):
・給与所得:150万−65万=85万円
・課税所得:85万−基礎控除48万=37万円
・所得税:37万×5%=1.85万円
・復興特別所得税:1.85万×2.1%=388円
・住民税:約2.5万円(均等割+所得割)
合計税負担:約4.4万円

(B)勤労学生控除あり(令和7年改正後):
・給与所得:150万−65万=85万円
・課税所得:85万−基礎控除95万−勤労学生27万=マイナス(=0円)
・所得税:0円
・住民税:0円(住民税基礎控除43万+勤労学生26万=69万>85万でも、給与所得控除込みで実質非課税ライン)

節税効果:約4.4万円

📢 令和7年改正後の非課税ライン

基礎控除95万円+給与所得控除65万円+勤労学生控除27万円=合計187万円まで所得税が非課税となるケースがあります。住民税は基礎控除等の額が異なるため、別途計算が必要です。

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親の扶養との関係

学生本人の勤労学生控除は本人の所得税の話ですが、親の所得税では「扶養控除」の対象になるかどうかが別問題となります。両者の関係を整理します。

勤労学生控除と扶養控除の関係

項目 勤労学生控除(本人) 扶養控除(親)
対象学生本人の税金親の税金
所得要件(令和7年〜)85万円以下58万円以下
給与のみの場合の年収上限150万円以下123万円以下
特定親族特別控除(令和7年〜新設)58万超123万以下で段階控除

⚠️ 学生年収123〜150万円の落とし穴

学生本人の年収が123万円超〜150万円以下の場合:
本人:勤労学生控除あり(所得税0円)
親:扶養控除なし(扶養親族の所得要件58万円超)→特定親族特別控除で段階控除のみ

本人の節税(年間約4万円)に対して、親の税負担増加(扶養控除消失で年間約11〜19万円増)で、世帯トータルでは不利になるケースが多いです。家族会議で年収調整を検討すべきライン。

年末調整での申請方法

勤労学生控除は、通常は年末調整で完結します。給与所得者なら確定申告は不要です。

年末調整での書き方

ステップ 内容
①「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を入手勤務先(バイト先)で配布
②「勤労学生」欄にチェック該当する区分を○で囲む
③学校名・在学期間を記入専修学校等は「学校名」と「在学期間」を明記
④在学証明書添付(専修学校等)学校教育法第1条の学校以外は要添付
⑤勤務先に提出11月〜12月の年末調整時期

確定申告での申請方法

年末調整で勤労学生控除を申請しなかった場合、5年以内なら確定申告(または更正の請求)で還付を受けられます。

確定申告での必要書類

書類 入手先
①確定申告書国税庁HP・e-Tax
②源泉徴収票勤務先
③在学証明書(専修学校等)学校事務局
④マイナンバーカード等自己保管
⑤還付金受取口座情報本人銀行口座

よくある質問

大学院生も勤労学生控除の対象ですか?
対象です。学校教育法第1条の「大学」には大学院も含まれるため、修士課程・博士課程の大学院生も対象。所得要件(令和7年〜:合計所得85万円以下)を満たせば、年齢に関わらず適用可能です。社会人大学院生でアルバイト収入がある場合も該当します。
通信制大学・夜間大学の学生は?
対象です。通信制・夜間制でも学校教育法第1条の大学なら勤労学生控除の対象。社会人として働きながら通信制大学に通うケースでも適用可能(他要件を満たす場合)。ただし、社会人で年収150万円超の正社員の場合は所得要件を満たさず、控除を受けられないケースが多いです。
予備校生・浪人生は対象になりますか?
原則として対象外です。予備校・大学受験予備校は学校教育法第1条の学校ではなく、各種学校としても勤労学生控除の対象として認められないケースが多いです。一部の予備校が認定校として登録されている場合もあるため、通学先の予備校に「勤労学生控除対象校か」を確認することを推奨します。
専門学校の認定要件はどのように確認しますか?
通学する専門学校の事務局に直接確認するのが確実です。判定基準は①修業年限1年以上、②職業に必要な技術の教授、③授業時数年間800時間以上(夜間450時間以上)。「勤労学生控除の対象校」と明示している学校もあれば、在学証明書発行時に該当性を併記する学校もあります。事務局窓口・学校HP・パンフレットで確認してください。
過去5年分の還付申告は可能ですか?
可能です。所得税の還付申告は、本来の確定申告期限(翌年3月15日)から5年以内なら可能です。例:2025年に過去申告し忘れに気付いた場合、2021年〜2024年分(過去4年分)について還付申告が可能。源泉徴収票・在学証明書を集めて、各年分の確定申告書を作成し税務署に提出します。1年あたり約3〜4万円の還付が見込まれる場合が多く、過去分を見直す価値が高いです。
年収150万円超(令和7年改正後)の場合は完全に対象外?
完全に対象外です。所得要件「合計所得85万円以下(給与年収150万円以下)」を1円でも超えると、勤労学生控除27万円が一切受けられません。150万1円の年収では、控除27万円消失で所得税負担が一気に増えるため、年末調整前に年収調整(シフト調整等)を検討する学生が多いです。150万円のラインを意識した働き方が重要です。
親の扶養から外れて勤労学生控除を選ぶのは得?
通常は世帯トータルで損です。学生本人の勤労学生控除27万円(節税効果約4万円)と、親が失う扶養控除38万円(節税効果約11〜19万円)を比較すると、親の負担増の方が大きいケースが多いです。本人年収123万円超〜150万円以下の場合、本人控除あり+親控除なし(or特定親族特別控除)で世帯所得が増えても、親の税負担増で実質的な手取り増は限定的。家族会議で慎重に判断すべきラインです。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 勤労学生控除は所得税法第82条の所得控除
  • 令和7年改正で所得要件75万→85万円(給与150万円以下)に拡大
  • 控除額:所得税27万円・住民税26万円(固定)
  • 適用要件:勤労所得+合計所得85万円以下+特定の学校
  • 対象学校:学校教育法第1条+認定専修学校+職業訓練法人
  • 給与のみなら年収187万円まで所得税非課税(基礎+給与所控+勤労)
  • 親扶養との関係に注意(扶養親族要件は58万円以下)
  • 年末調整で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」記入
  • 過去5年以内なら還付申告可能
  • 年収150万1円で完全対象外(壁の意識重要)

📝 次のアクション

  1. 通学先が勤労学生控除対象校か確認
  2. 今年の見込み年収を計算(150万円ライン意識)
  3. 年末調整書類で「勤労学生」欄に記入
  4. 専修学校等なら在学証明書を取得
  5. 過去申告漏れがあれば還付申告を検討

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