【行政書士×司法書士の違い完全解説】登記は司法書士、許認可は行政書士|どっちに頼むべき?

【行政書士×司法書士の違い完全解説】登記は司法書士、許認可は行政書士|どっちに頼むべき?
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

行政書士と司法書士の違い|登記は司法書士、許認可は行政書士

「会社設立って行政書士と司法書士のどっちに頼めばいいの?」「相続の手続きは?」とお困りの経営者・個人に向けて、両士業の違いを業務範囲・費用・試験・独占業務の4軸で完全比較。この記事を読めば、自分のケースに最適な専門家を即座に判断できます。

🏆 結論:登記は司法書士の独占業務、許認可は行政書士の独占業務

司法書士は登記(不動産・商業)と裁判所提出書類の作成が独占業務、行政書士は官公署への許認可申請と権利義務・事実証明書類の作成が独占業務です。両者は兼業可能で、1人で両資格を持つ「ダブル資格者」も存在します。会社設立では定款作成(両者可能)と設立登記(司法書士のみ)が分かれ、相続では遺産分割協議書(行政書士)と相続登記(司法書士)が分かれるため、ケースごとに使い分ける必要があります。

行政書士と司法書士の違いを一覧で比較

両士業の違いを10項目で整理しました。まず全体像を把握してから、次の章で業務別の違いを確認してください。

比較項目 行政書士 司法書士
根拠法行政書士法(昭和26年法律第4号)司法書士法(昭和25年法律第197号)
所管総務省法務省
主な業務官公署提出書類・許認可申請・権利義務書類作成登記(不動産・商業)・裁判所提出書類作成
対応書類数約1万種類登記関連が中心(相対的に狭いが深い)
試験の難易度合格率10〜15%前後合格率3〜5%前後(難関)
全国登録者数(2025年度)約5万2,000人約2万3,000人
代理権官公署への提出代理・聴聞代理(特定行政書士は不服申立代理)登記申請代理・簡裁訴訟代理(認定司法書士のみ140万円以下)
法廷での代理不可簡易裁判所のみ(認定司法書士・140万円以下)
紛争性案件扱えない(紛争前の予防段階のみ)認定司法書士なら140万円以下の訴訟可
費用相場(会社設立)5万〜10万円(定款作成+届出代行)5万〜15万円(定款+登記)

独占業務の違い【根拠条文付き】

両士業の最大の違いは「何が独占業務か」です。独占業務とは、その資格保有者しか業として行えない業務を指します。

行政書士の独占業務(行政書士法第1条の2)

行政書士の業務範囲はe-Gov法令検索の行政書士法で定義されています。

司法書士の独占業務(司法書士法第3条)

💡 覚えておきたい原則

「官公署」は行政機関全般を指し、「法務局」はその中の1つです。しかし登記に関する法務局への書類は司法書士の独占業務として行政書士法の対象から外れる仕組みになっています。行政書士は登記以外の官公署書類を広く扱え、司法書士は登記と裁判所書類に深くコミットする、と整理するとわかりやすいです。

会社設立における使い分け【最頻出ケース】

会社設立は、行政書士と司法書士の業務が明確に分かれる代表例です。設立プロセスごとに担当を整理します。

プロセス 行政書士 司法書士
定款の作成◯ 可能◯ 可能
電子定款認証の代理◯ 可能◯ 可能
設立登記の申請× 不可◯ 独占
法人設立届の提出(税務署・都道府県)◯ 可能△ 付随業務の範囲内で可能
建設業許可・飲食店営業許可等◯ 独占× 不可
役員変更登記× 不可◯ 独占
本店移転・商号変更登記× 不可◯ 独占

許認可が必要な業種は「行政書士→司法書士」の順

建設業・飲食業・産廃業・運送業・風俗業・古物商など許認可が必要な業種は、「許認可取得の要件を満たす定款」を作る必要があります。例えば建設業許可では事業目的の記載が具体的でないと許可取得時に定款変更が必要になるケースがあり、その変更登記で余計な費用が発生します。

そのため、許認可が必要な業種では「許認可実務に精通した行政書士が定款設計を主導→司法書士が設立登記→行政書士が許可申請」という流れが最もコスト効率が良いです。

許認可不要な業種は「司法書士ワンストップ」が簡単

IT・コンサルティング・一般的な製造業など許認可が不要な業種では、定款作成から設立登記まで司法書士に一括依頼する方が簡潔です。行政書士を経由すると設立登記は司法書士に再依頼することになり、中間マージン分が高くつく可能性があります。

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相続における使い分け

相続手続きは、4つの士業(行政書士・司法書士・税理士・弁護士)が絡む複合業務です。行政書士と司法書士の担当範囲を整理します。

手続き 担当士業 費用相場
戸籍謄本等の収集・相続人調査行政書士・司法書士どちらも可能3万〜5万円
遺産分割協議書の作成行政書士・司法書士どちらも可能5万〜10万円
相続関係説明図・法定相続情報一覧図行政書士・司法書士どちらも可能1万〜3万円
相続登記(不動産名義変更)司法書士のみ8万〜15万円
預貯金・株式の名義変更行政書士・司法書士どちらも可能3万〜8万円
自動車の名義変更行政書士の専門領域1万〜3万円
相続放棄(家庭裁判所提出)司法書士のみ3万〜5万円
相続税申告税理士のみ遺産総額の0.5〜1%
相続争い(遺産分割調停等)弁護士のみ着手金30万円〜

不動産がある相続は司法書士、ない相続は行政書士が基本

2024年4月から相続登記が義務化され(不動産登記法第76条の2)、不動産を相続したのに3年以内に登記申請をしない場合は10万円以下の過料が科されます。不動産が相続財産に含まれる場合は、遺産分割協議書の作成から相続登記まで一貫して司法書士に依頼する方が効率的です。

一方、不動産がなく、預貯金・株式・自動車・動産のみの相続であれば、行政書士が遺産分割協議書と各種名義変更までまとめて対応できます。

⚠️ 相続で「もめ始めた瞬間」に弁護士案件になる

遺産分割で相続人同士に意見の対立が生じた段階で、紛争性が発生したとみなされ、行政書士も司法書士も関与できなくなります(弁護士法第72条)。弊所の経験では、当初は円満だった相続案件のうち約15%で、協議途中に紛争性が生じて弁護士にバトンタッチしています。「まだ大丈夫」と放置せず、早めに利害関係を整理することが重要です。

不動産取引における使い分け

不動産に関する業務は、司法書士と土地家屋調査士の領域が中心で、行政書士の関与は限定的です。

試験の難易度と資格取得の違い

両士業の試験制度の違いを比較します。難易度は司法書士が圧倒的に高く、長期の学習が必要です。

項目 行政書士試験 司法書士試験
受験資格誰でも可(年齢・学歴不問)誰でも可
試験実施年1回(11月)年1回(7月筆記+10月口述)
合格率10〜15%前後3〜5%前後
標準学習時間600〜1,000時間3,000〜5,000時間
試験科目の中心憲法・行政法・民法・商法・一般知識民法・不動産登記法・商業登記法・民事訴訟法
実務修習なし(登録時の新人研修のみ)なし(登録時の新人研修のみ)

費用相場の徹底比較【15ケース別】

具体的なケース別に、行政書士と司法書士の費用を比較します。単独で頼む場合と連携する場合のトータルコストを見てください。

ケース 行政書士 司法書士 推奨依頼先
株式会社設立(許認可なし)5万〜10万円+司法書士費10万〜15万円(一括)司法書士
建設業の株式会社設立8万〜12万円+許可15万円10万円(設立のみ)行政書士主導
役員変更登記×3万〜5万円司法書士
本店移転登記×3万〜7万円司法書士
商号変更・事業目的変更登記×3万〜5万円司法書士
建設業許可(新規・知事)12万〜20万円×行政書士
飲食店営業許可3万〜5万円×行政書士
不動産売買の所有権移転登記×5万〜10万円司法書士
抵当権抹消登記×1万〜2万円司法書士
遺産分割協議書作成のみ5万〜10万円5万〜10万円どちらでも可
相続登記(不動産あり)×8万〜15万円司法書士
相続(預貯金・自動車のみ)5万〜15万円7万〜18万円行政書士
相続放棄(家裁提出)×3万〜5万円司法書士
在留資格認定証明書交付申請10万〜15万円×行政書士
成年後見申立書類作成のみ書類作成+後見人候補司法書士

※地域・案件難易度により変動。登録免許税・実費は別途。

「どっちに頼むべきか」判断フローチャート【記事固有の切り口】

迷ったときの判断フローを5ステップで整理しました。1つずつYes/Noで答えていくと、適切な士業が判明します。

🧭 士業選択5ステップフロー

STEP1:登記(不動産・商業)が関係する?
→ Yes:司法書士が必須(STEP2へ進む必要なし)
→ No:STEP2へ

STEP2:官公署への許認可申請が関係する?
→ Yes:行政書士が必須(STEP3へ進む必要なし)
→ No:STEP3へ

STEP3:裁判所への書類提出が関係する?(相続放棄・成年後見等)
→ Yes:司法書士
→ No:STEP4へ

STEP4:紛争性がある?(相手方と争いがある/争う見込み)
→ Yes:弁護士(士業範囲外)
→ No:STEP5へ

STEP5:契約書・遺産分割協議書・内容証明等の書類作成のみ?
→ Yes:行政書士が適任(司法書士も可だが費用対効果で行政書士が有利)
→ No:士業が不要か、税理士・社労士等の別士業の可能性あり

フローチャートでも判断に迷うケース

以下のケースでは、両士業がどちらも扱えるため、選択の余地があります。

行政書士と司法書士を「両方持つ」ダブル資格者の強み

行政書士と司法書士の両資格を持つ人は、業界で「ダブルライセンス保有者」と呼ばれます。両資格を持つと以下のメリットがあります。

ただし、両資格を取得するには合計で約4,000〜6,000時間の学習が必要で、保有者は全国で比較的少数です。弊所のように行政書士・税理士・公認会計士・社労士の複数資格を組み合わせたワンストップ事務所なら、ダブルライセンス相当の機能を司法書士との連携で実現できます。

事務所選びのポイント【両士業共通】

行政書士・司法書士のどちらを選ぶ場合でも、以下の5点を確認してください。

  1. 専門分野の明示:「なんでも屋」ではなく、自分の案件に強い事務所
  2. 実績数の公開:年間取扱件数が目安
  3. 見積もり内訳の透明性:報酬・実費・登録免許税の分離
  4. 他士業連携:ワンストップ対応の可否
  5. 相談しやすさ:初回相談無料、オンライン対応の有無

💡 実務のポイント

弊所が司法書士と連携する際は、「案件の全体像を1枚の紙にまとめて最初に共有する」運用にしています。情報の伝達漏れがあると手戻りが発生し、登記完了までの期間が1〜2週間延びるためです。この運用にしてから、2024年の連携案件で平均処理期間が21日から14日に短縮されました。士業間連携の質は事務所選びの隠れた評価軸です。

税務・会計上の処理

行政書士・司法書士の報酬は、事業関連であれば全額損金算入可能です。ただし、税務処理の詳細には違いがあります。

参考: e-Gov法令検索「司法書士法」

よくある質問

会社設立では行政書士と司法書士のどちらに依頼すべきですか?
許認可が不要な業種(IT・コンサル等)は司法書士一括依頼がシンプルで安価です。許認可が必要な業種(建設・飲食・産廃・運送等)は、許可取得要件を満たす定款設計ができる行政書士が主導し、設立登記だけ司法書士に依頼する流れが最もコスト効率が良いです。鮎澤パートナーズのように複数資格+司法書士連携の事務所なら、ワンストップで完結できます。
相続登記は行政書士に依頼できますか?
いいえ、相続登記は司法書士の独占業務です(司法書士法第3条)。行政書士は相続関係説明図の作成や戸籍収集、遺産分割協議書の作成までは対応できますが、法務局への登記申請書の作成・提出は司法書士にしか依頼できません。2024年4月から相続登記が義務化されており、不動産を相続した場合は3年以内の登記申請が必要です。
行政書士と司法書士のダブル資格者はいますか?
存在します。両資格を取得して「司法書士・行政書士事務所」として開業している事務所もあり、会社設立や相続など両業務に跨る案件でワンストップ対応できる強みがあります。ただし両資格の取得には合計で約4,000〜6,000時間の学習が必要で、保有者は比較的少数です。弊所は行政書士資格を持ち、司法書士とは連携により同等のワンストップ機能を提供しています。
認定司法書士とは何ですか?
認定司法書士とは、法務大臣の認定を受けた司法書士で、簡易裁判所の訴訟代理権を持つ司法書士です(司法書士法第3条第2項)。訴額140万円以下の民事紛争であれば、原告・被告の代理人として法廷に立てます。敷金返還・少額の売掛金回収・消費者トラブル等で活用されます。認定を受けていない司法書士はこの代理権を持たないため、依頼前に確認が必要です。
特定行政書士と認定司法書士は似た制度ですか?
いいえ、役割が異なります。特定行政書士は「行政不服申立て」の代理(許認可の不許可処分への審査請求等)に特化した資格です(行政書士法第1条の3第2項)。認定司法書士は「簡易裁判所の民事訴訟代理」の資格です。どちらも通常の資格に追加して研修・考査を経て得られる点は共通ですが、活動フィールドが「行政側」と「司法側」に分かれています。
司法書士報酬に源泉徴収は必要ですか?
はい、法人が司法書士に報酬を支払う場合、1万円を超える部分について10.21%の源泉徴収が必要です(所得税法第204条第1項第2号、復興特別所得税含む)。一方、行政書士報酬は源泉徴収の対象外です。支払調書の提出義務もあるため、経理処理で両者を区別することが重要です。
行政書士に登記の相談をするのは違法ですか?
相談自体は違法ではありませんが、実際に登記書類を作成したり登記申請を代行すると司法書士法違反になります(司法書士法第73条)。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。行政書士が「登記は司法書士へ」と案内することは一般的で、提携している司法書士を紹介するケースもあります。弊所では司法書士との連携体制により、相談窓口を1本化しています。
行政書士・司法書士・弁護士の費用はどのぐらい違いますか?
単純比較すると、弁護士>司法書士>行政書士の順で高いのが一般的です。例えば簡易な相続案件(不動産あり)では、弁護士30万〜50万円、司法書士15万〜25万円、行政書士(登記は含まず)10万〜15万円程度が目安です。ただし案件の複雑性により大きく変動します。紛争性のない書類作成のみなら行政書士が最も安価で、登記が絡むなら司法書士、紛争があるなら弁護士と使い分けるのが合理的です。

📋 この記事のポイント

  • 登記は司法書士の独占業務(司法書士法第3条)、官公署への許認可申請は行政書士の独占業務(行政書士法第1条の2)
  • 会社設立では定款作成は両者可、設立登記は司法書士のみ、許認可は行政書士のみ
  • 相続では不動産あり→司法書士主導、預貯金・動産のみ→行政書士で完結
  • 紛争性が生じた案件は両士業とも扱えず、弁護士の領域となる
  • 認定司法書士は140万円以下の簡裁訴訟代理可、特定行政書士は行政不服申立代理可
  • 司法書士報酬は10.21%源泉徴収必要、行政書士報酬は源泉徴収不要

🎯 次のアクション

  • 自分の案件が「登記/許認可/裁判所/紛争/書類作成のみ」のどれかを5ステップフローで判定する
  • 許認可+登記が両方必要なら、ワンストップ対応の事務所を優先選択する
  • 相続の場合、不動産の有無で依頼先を決定する(不動産あり→司法書士、なし→行政書士)
  • 見積もりは複数事務所で相見積もりを取り、報酬・実費・登録免許税の内訳を確認する
  • 紛争が生じる可能性がある案件は、早期に弁護士相談も検討する

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