【4士業ワンストップ解説】受取配当等の益金不算入制度|完全子法人・関連法人・その他株式・非支配目的の4区分と計算方法

【4士業ワンストップ解説】受取配当等の益金不算入制度|完全子法人・関連法人・その他株式・非支配目的の4区分と計算方法
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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受取配当等の益金不算入制度|完全子法人・関連法人・その他株式・非支配目的の4区分と計算方法

「子会社から受け取った配当も法人税の課税対象になるの?」「持株比率で益金不算入の割合が違うって本当?」と疑問を持つ経営者・経理担当者に向けて、受取配当等の益金不算入制度を完全ガイドします。この記事を読めば、4区分の判定方法、益金不算入額の計算、負債利子控除の簡便計算(4%/10%)、グループ通算制度の取扱いまで一気に理解できます。

🏆 結論:持株比率で益金不算入割合が「100%/100%/50%/20%」と4段階に変動

受取配当等の益金不算入制度は、法人が他の内国法人から受け取る配当について、二重課税の排除を目的に法人税の課税対象から除外する制度(法人税法第23条)。持株比率により4区分に分けられ、①完全子法人株式等(100%保有)は配当の100%、②関連法人株式等(保有比率1/3超)は100%(負債利子控除あり)、③その他株式等(5%超〜1/3以下)は50%、④非支配目的株式等(5%以下)は20%が益金不算入になります。関連法人株式等の負債利子控除は「配当額×4%」または「支払利子×10%」のいずれか小さい方を控除する仕組み。短期保有株式(配当基準日前1か月以内の取得・基準日後2か月以内の譲渡)は対象外となる落とし穴があり、決算前の駆け込み取得は否認リスクが高いです。

受取配当等の益金不算入とは

制度の趣旨:法人段階の二重課税排除

法人が他の法人から受け取る配当金は、原則として課税済みの利益から支払われています。配当を支払う法人がすでに法人税を負担しており、それを受け取る法人で再度法人税を課税すると「二重課税」となるため、これを排除する目的で設けられた制度です。 例えば、A社が稼いだ利益1,000万円に対して法人税約336万円を負担し、残りから配当500万円をB社に支払った場合、B社で再び配当500万円が法人税の課税対象になると、同じ経済的利益に対する二重課税が発生します。この不合理を解消するのが受取配当等の益金不算入制度です。

💡 実務のポイント

グループ会社経営や持株会社体制で重要な制度です。子会社や関連会社から配当を受け取る親会社では、配当全額または大半が益金不算入になるため、グループ全体の実効税負担を大幅に下げられます。一方、株式投資目的で少額保有している銘柄からの配当は20%しか益金不算入にならないため、節税効果は限定的。グループ会社の組成・株式取得時に「配当の課税扱い」を事前に意識することで、無駄な税負担を回避できます。

制度の対象となる「配当等」の範囲

「配当等」には以下が含まれます(法人税法第23条第1項)。
  1. 剰余金の配当(株式配当)
  2. 利益の配当(持分会社の配当)
  3. 剰余金の分配(出資に係るもの)
  4. 金銭の分配(投資信託及び投資法人に関する法律)
  5. 資産の流動化に関する法律に規定する金銭の分配
  6. みなし配当(自己株式取得・合併・資本剰余金からの配当等)

⚠️ 対象外となる主な配当

  • 外国法人からの配当(外国子会社配当益金不算入制度・別制度)
  • 公社債投資信託の収益分配
  • 協同組合等の事業分量配当
  • 名義書換失念株からの配当(実体的に保有していない)
  • 短期保有株式に係る配当(後述)

4区分の判定基準と益金不算入割合

4区分の概要

受取配当等は、株式の保有比率により4つに区分されます。
区分 保有比率 益金不算入割合 負債利子控除
①完全子法人株式等100%100%不要
②関連法人株式等1/3超〜100%未満100%必要
③その他株式等5%超〜1/3以下50%不要
④非支配目的株式等5%以下20%不要

判定の基準日

区分 判定方法
完全子法人株式等配当計算期間の初日〜末日まで継続して100%保有
関連法人株式等配当計算期間を通じて1/3超を継続保有
その他株式等/非支配目的株式等配当の基準日に5%基準で判定

📊 公認会計士の視点

完全子法人株式等と関連法人株式等は「配当計算期間を通じて継続保有」が要件、その他・非支配目的は「基準日に判定」と異なります。例えば期中にM&Aで100%取得した場合、その期の最初の配当ではまだ「配当計算期間を通じて継続保有」を満たさないため、その他株式等として50%の益金不算入扱いになることがあります。M&A実行時期は配当課税扱いに直結するため、取得時期の検討が重要です。

令和4年度改正:100%グループ内の保有比率を合算

令和4年度税制改正により、関連法人株式等・非支配目的株式等の判定で「100%グループ内の保有比率を合算する」運用に変わりました。これにより、グループ全体で1/3超保有していれば関連法人株式等扱いになる構造が確立しました。

4区分ごとの益金不算入額の計算式

①完全子法人株式等(100%保有)

📐 完全子法人株式等の益金不算入額

益金不算入額 = 完全子法人株式等に係る配当等の額 × 100%

100%保有しているため、グループ内移動と同視され、配当の全額が益金不算入。負債利子控除も不要です。

②関連法人株式等(1/3超)

📐 関連法人株式等の益金不算入額

益金不算入額 = 関連法人株式等に係る配当等の額 − 負債利子控除額

関連法人株式等は配当全額が原則対象ですが、負債利子(借入金の利息)を控除する必要があります。負債利子控除額の計算は次のセクションで詳述します。

③その他株式等(5%超〜1/3以下)

📐 その他株式等の益金不算入額

益金不算入額 = その他株式等に係る配当等の額 × 50%

④非支配目的株式等(5%以下)

📐 非支配目的株式等の益金不算入額

益金不算入額 = 非支配目的株式等に係る配当等の額 × 20%

投資目的の少額株式は二重課税排除の必要性が低いとされ、20%のみが益金不算入になります。

関連法人株式等の負債利子控除【4%/10%簡便計算】

令和2年改正で簡便化された計算式

関連法人株式等の負債利子控除は、令和2年度改正までは「総資産に占める株式割合」を使う複雑な計算でしたが、改正により以下の簡便計算に変更されました。

📐 負債利子控除額の計算式

原則:関連法人株式等に係る配当等の額 × 4%
特例:支払利子等の額の合計額 × 10%
原則と特例のうち小さい方を負債利子控除額とする

判定の流れ

判定 控除額
支払利子×10% ≧ 配当×4%配当 × 4%(原則)
支払利子×10% < 配当×4%支払利子 × 10%(特例適用)

シミュレーション3パターン

🧮 シミュレーション(関連法人株式等からの配当1,000万円)

配当1,000万円・支払利子の額により負債利子控除額がどう変動するか試算します。

ケース 支払利子 原則4% 特例10% 控除額 益金不算入額
支払利子なし0円40万円0円0円1,000万円(100%)
支払利子200万円200万円40万円20万円20万円980万円(98%)
支払利子500万円500万円40万円50万円40万円960万円(96%)
支払利子1,000万円1,000万円40万円100万円40万円960万円(96%)

💡 実務のポイント

支払利子が少ない法人(無借金経営に近い)は、特例方式の方が控除額が小さくなり、益金不算入額が大きくなる傾向があります。逆に多額の借入がある法人でも、配当額の4%が上限になるため、最終的な控除額は配当額の4%を超えません。実務的には「関連法人株式等の配当の96〜100%が益金不算入」と覚えておけば概算把握できます。

参考: 国税庁 通算制度における関連法人株式等に係る受取配当等の益金不算入額の計算

短期保有株式の除外規定

短期保有株式の定義

配当の基準日以前1か月以内に取得し、かつ基準日後2か月以内に譲渡した株式は「短期保有株式」として、益金不算入の対象から除外されます(法人税法第23条第2項、施行令第20条)。

⚠️ 短期保有株式の制限趣旨

基準日付近の駆け込み取得で配当を受け取り、すぐに譲渡する「配当狙いの短期売買」を租税回避として排除する規定です。例えば、配当基準日3月31日の銘柄を3月20日に取得し、配当受領後の4月10日に譲渡した場合、配当は益金不算入の対象外となります。3月決算法人がこの取引をすると、配当が丸ごと課税対象になります。

短期保有株式の判定計算

短期保有株式の判定は次の3ステップで行います。
  1. 配当基準日前1か月以内に取得した同銘柄の株式数を集計
  2. 配当基準日後2か月以内に同銘柄を譲渡した株式数を確認
  3. 譲渡株式数のうち、上記①の取得株式数に対応する部分を「短期保有株式」と判定し、その分の配当を益金不算入の対象から除外

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みなし配当の取扱い

みなし配当が発生する5つのパターン

通常の配当に加えて、以下のケースでは「みなし配当」として税務上配当扱いとなります(法人税法第24条)。
パターン 具体例
①合併非適格合併で受け取る合併対価が資本金等を超える部分
②分割型分割非適格分割型分割で受け取る分割対価が資本金等を超える部分
③資本剰余金からの配当利益剰余金を経由しない資本剰余金の配当
④自己株式の取得市場買付以外で発行法人が自社株を買い取った場合の対価のうち資本金等超過分
⑤出資の払戻し減資・解散等で受け取る金銭のうち資本金等を超える部分

みなし配当の益金不算入の取扱い

みなし配当は通常の配当と同様に、4区分(完全子法人株式等・関連法人株式等・その他株式等・非支配目的株式等)で益金不算入額を計算します。ただし、合併や分割型分割などの組織再編に伴うみなし配当は、再編の適格・非適格判定により取扱いが複雑化するため、税理士確認が不可欠です。

グループ通算制度での取扱い

個別計算が原則

令和4年度税制改正によりグループ通算制度が施行され、受取配当等の益金不算入は連結納税時代と異なり、原則として法人ごとに個別計算する運用に変わりました。
項目 取扱い
益金不算入額の計算通算法人ごとに個別計算
関連法人株式等・非支配目的株式等の判定通算グループ全体の保有比率で判定
負債利子の上限額計算通算グループ全体で計算
通算法人間の配当完全子法人株式等扱いで全額益金不算入

グループ通算制度のメリット

💡 グループ通算制度のメリット

グループ通算制度を適用することで、通算グループ内の法人から受ける配当は全額益金不算入になります。100%子会社からの配当はもともと完全子法人株式等として全額益金不算入ですが、グループ通算制度では「通算グループ内」という認定で同様の優遇が得られます。グループ全体での税負担を最適化する強力な仕組みです。

配当の源泉徴収の取扱い

配当に対する源泉徴収義務

配当を支払う法人は、配当の支払時に源泉徴収する義務があります。源泉徴収税率は配当の種類により異なります。
配当の種類 源泉徴収税率
上場株式の配当(一般口座)15.315%(所得税15%+復興特別所得税)
非上場株式の配当20.42%(所得税20%+復興特別所得税)

完全子法人株式等・関連法人株式等の源泉徴収不要制度

令和5年10月1日以降に支払われる完全子法人株式等・関連法人株式等の配当は、源泉徴収が不要になりました(所得税法第177条)。これにより、グループ会社間の配当の事務負担が大幅に軽減されました。

受取配当の仕訳例

関連法人株式等から1,000万円の配当を受領した場合

タイミング 借方 貸方
①配当受領(源泉徴収不要)普通預金 10,000,000受取配当金 10,000,000
②法人税申告(別表四)受取配当等の益金不算入 9,600,000(減算)

非支配目的株式(上場株式)から100万円の配当を受領した場合

タイミング 借方 貸方
①配当受領(源泉徴収あり)普通預金 846,850
仮払法人税等 153,150
受取配当金 1,000,000
②法人税申告(別表四)受取配当等の益金不算入 200,000(減算)

※非支配目的株式の益金不算入は配当の20%(100万円×20%=20万円)。

確定申告書の別表添付

必要な別表

受取配当等の益金不算入を適用する場合、確定申告書に以下の別表を添付します。
  1. 別表八(一):受取配当等の益金不算入に関する明細書
  2. 別表八(一)付表一:株式等の保有割合判定の明細書
  3. 別表八(二):外国子会社から受ける配当等の益金不算入に関する明細書(該当時)

⚠️ 別表添付漏れのペナルティ

受取配当等の益金不算入は申告調整事項のため、別表添付がないと適用が認められません。1,000万円の配当があるグループ会社で別表添付を怠った場合、約336万円の追加法人税負担が発生します。決算時の最終確認で必ず別表添付を確認してください。

よくある質問

外国の子会社から受け取る配当も益金不算入になりますか?
外国法人からの配当は「外国子会社配当益金不算入制度」(法人税法第23条の2)という別制度の対象になります。持株比率25%以上の外国子会社から受ける配当は、95%が益金不算入。国内の受取配当等の益金不算入制度と類似していますが、要件や計算方法が異なります。グローバル展開する法人は、両制度の使い分けが必要です。
完全子法人株式等の判定は厳しいですか?
完全子法人株式等は「配当計算期間の初日から末日まで継続して100%保有」が要件です。期中に1株でも他者に保有された期間があると、完全子法人株式等として認められません。グループ再編やM&Aで持株比率が変動するタイミングは、配当の課税扱いを変える可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
関連法人株式等の負債利子控除は必ず計算する必要がありますか?
関連法人株式等から配当を受ける場合は、必ず負債利子控除額を計算する必要があります。ただし、支払利子のない法人(無借金経営)の場合、特例方式(支払利子×10%)はゼロになり、原則方式(配当×4%)が控除額となります。完全に無利子経営の場合は、配当の100%が益金不算入になります。
REITやインフラファンドの分配金は益金不算入の対象ですか?
REIT(不動産投資信託)やインフラファンドは投資法人であり、その分配金は法人税法上の「配当等」に含まれますが、特殊な扱いを受けます。これらの法人は支払う配当の90%超を分配することで法人税が実質ゼロとなる仕組みのため、受け取る側の益金不算入の対象外とされる例があります。具体的な取扱いは投資商品により異なるため、税理士確認が必須です。
配当を受け取った後すぐに株式を売却した場合、益金不算入は使えますか?
基準日前1か月以内に取得し、基準日後2か月以内に譲渡した「短期保有株式」については、益金不算入の対象から除外されます。配当狙いの短期売買を租税回避として排除する規定です。3月決算の上場株式で3月20日取得・4月10日譲渡といった取引パターンは、配当が全額課税対象になる可能性があります。
受取配当等の益金不算入と法人住民税の関係は?
受取配当等の益金不算入は法人税の課税所得計算で適用される制度ですが、法人住民税(法人税割)も法人税額をベースに計算されるため、間接的に住民税負担も軽減されます。また、法人事業税については別途「受取配当等の益金不算入」の調整が必要な場合があるため、地方税の申告書も適切に作成する必要があります。
M&A実行時の配当課税はどう変わりますか?
期中にM&Aで他社株式を取得した場合、その期の最初の配当では「配当計算期間を通じて継続保有」を満たさないため、株式の保有比率に応じて以下のように扱われます。①取得後100%保有→完全子法人株式等ではなく、その他株式等または関連法人株式等扱い、②取得後1/3超〜100%未満→関連法人株式等の継続保有判定で疑義あり、③取得後5%超〜1/3以下→その他株式等で50%益金不算入。M&A実行時期は配当扱いに直結するため、決算月との関係を意識する必要があります。
資本剰余金からの配当はどう取り扱われますか?
資本剰余金からの配当(資本配当)は、税務上は「みなし配当」と「資本払戻し」の両方の性質を持ちます。配当部分は受取配当等の益金不算入の対象ですが、資本払戻し部分は株式の譲渡損益として処理します。資本剰余金配当を行う場合は、税務上の按分計算が必要で、誤ると重要な税務リスクとなります。

📋 この記事のポイント

  • 受取配当等の益金不算入は法人段階の二重課税を排除する制度(法人税法第23条)
  • 4区分で益金不算入割合が変動:完全子法人100%/関連法人100%(負債利子控除あり)/その他50%/非支配目的20%
  • 関連法人株式等の負債利子控除は「配当×4%」または「支払利子×10%」の小さい方
  • 短期保有株式(基準日前1か月取得・後2か月譲渡)は益金不算入の対象外
  • みなし配当(合併・分割・自己株取得等)も4区分で益金不算入を計算
  • グループ通算制度では原則として法人ごとに個別計算するが、判定はグループ全体で行う
  • 完全子法人株式等・関連法人株式等の配当は令和5年10月以降源泉徴収不要
  • 適用には別表八(一)の確定申告書添付が必須

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