【税理士×公認会計士が解説】信用保証協会の仕組みと保証料の計算方法|CRD格付け・責任共有制度までわかりやすく解説

【税理士×公認会計士が解説】信用保証協会の仕組みと保証料の計算方法|CRD格付け・責任共有制度までわかりやすく解説
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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信用保証協会の仕組みと保証料の計算方法|CRD格付け・責任共有制度までわかりやすく解説

「信用保証協会って何をしてくれるの?」「保証料はどう計算されるの?」という経営者に向けて、信用保証の仕組み・CRD格付け9区分・責任共有制度の構造・保証料の実額計算方法を解説します。この記事を読めば、保証料を下げるための具体的なアクションがわかります。

🏆 結論:保証料率はCRDスコアで決まり、決算書の改善で下げられる

信用保証協会の保証料率は、CRD(中小企業信用リスクデータベース)による9区分のスコアリングで機械的に決まります。区分1(最優良)なら年0.45%、区分9(最高リスク)なら年1.90%と、最大4倍以上の差があります。つまり、決算書の財務指標を改善してCRDスコアを上げることが、保証料を下げる最も確実な方法です。1,000万円・5年の融資なら、区分1と区分9で保証料の差は約4.4万円/年(累計約22万円)にもなります。

信用保証協会とは?仕組みの全体像

信用保証協会とは、中小企業が銀行から融資を受ける際に「保証人」の役割を果たす公的機関です。全国47都道府県と4市(横浜・川崎・名古屋・岐阜)に計51の信用保証協会が設置されています。

仕組みをひとことで言えば、「中小企業が返済できなくなった場合、信用保証協会が銀行に代わりに返済する(代位弁済)」ことで、銀行が安心して中小企業に融資できるようにする制度です。

登場人物 役割 お金の流れ
中小企業(借り手)融資を受ける銀行に返済+保証協会に保証料を支払う
金融機関(貸し手)融資を実行する保証があるため貸しやすい
信用保証協会保証人の代わり返済不能時に代位弁済→企業に求償
日本政策金融公庫(信用保険)保証協会の再保険代位弁済の70〜80%を保険でカバー

参考: 全国信用保証協会連合会

💡 実務のポイント

保証協会を使うのは「信用力が低いから」ではありません。実際、創業間もない企業や担保のない企業が銀行融資を受けるための「正当なパスポート」です。保証付き融資で実績を積み、3期連続黒字を達成したらプロパー融資に挑戦する、という成長ステップとして活用するのが王道です。

CRD格付け9区分と保証料率の対応表

保証料率は、CRD(Credit Risk Database:中小企業信用リスクデータベース)によるスコアリングで9段階に区分されます。CRDは全国の信用保証協会・金融機関から収集した約430万社の財務データに基づき、統計的に倒産確率を算出するシステムです。

区分 責任共有保証料率 責任共有外保証料率 リスク水準 目安となる企業像
10.45%0.50%極めて低い高自己資本比率・安定黒字・無借金に近い
20.55%0.60%非常に低い自己資本比率30%超・3期連続黒字
30.68%0.80%低い自己資本比率20%超・安定黒字
40.80%0.95%やや低い自己資本比率15%前後・黒字基調
51.00%1.15%標準決算書未提出の場合もこの区分
61.15%1.35%やや高い自己資本比率10%未満・利益率低い
71.35%1.55%高い赤字傾向・債務償還年数が長い
81.55%1.70%非常に高い2期連続赤字・実質債務超過に近い
91.90%2.20%極めて高い3期連続赤字・債務超過

※保証料率は一般保証の場合。制度融資など一部の制度では別途料率が設定されています。参考: 中小企業庁「信用保証制度の概要」

保証料の計算方法【実額シミュレーション】

保証料の計算式は以下のとおりです。

📐 保証料の計算式

  • 一括返済の場合:保証料=借入金額×保証料率×保証期間(月)÷12
  • 分割返済の場合:保証料=借入金額×保証料率×保証期間(月)÷12×分割返済回数別係数

保証料の実額シミュレーション(借入1,000万円・5年の場合)

CRD区分 保証料率 保証料(一括返済) 保証料(均等60回払い・係数0.55) 差額
区分10.45%22.5万円12.4万円
区分5(標準)1.00%50.0万円27.5万円+15.1万円
区分91.90%95.0万円52.3万円+39.9万円

※分割返済回数別係数は返済方法により異なります。60回均等の場合は概ね0.55前後。

区分1と区分9では、分割返済で約39.9万円、一括返済で約72.5万円もの差が生じます。決算書を改善してCRDスコアを上げることが、保証料の節約に直結するのです。

責任共有制度の仕組み【80:20ルール】

責任共有制度とは、2007年10月に導入された制度で、信用保証協会と金融機関がリスクを分担する仕組みです。保証協会が融資額の80%を保証し、金融機関が20%のリスクを負担します。

項目 責任共有制度の対象 責任共有制度の対象外
保証割合融資額の80%を保証融資額の100%を保証
銀行のリスク20%を自行で負担リスクなし(全額保証)
保証料率責任共有保証料率(やや低い)責任共有外保証料率(やや高い)
対象となる制度一般保証など大半の制度小口零細企業保証・創業関連保証・セーフティネット保証・危機関連保証など

💡 実務のポイント

責任共有制度のもとでは銀行も20%のリスクを負うため、「保証があるからとりあえず貸す」という姿勢ではなくなっています。つまり、保証付き融資であっても銀行は企業の財務内容を精査します。逆に言えば、小口零細企業保証(従業員20人以下で保証残高1,250万円以下)は100%保証のため、銀行の審査ハードルが低く、創業期や小規模事業者には特に使いやすい制度です。

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保証限度額の全体構造

保証枠 限度額 備考
一般保証2億8,000万円無担保は8,000万円まで
セーフティネット保証(別枠)2億8,000万円一般保証とは別枠で利用可
危機関連保証(さらに別枠)2億8,000万円国が指定した危機時に発動
合計最大8億4,000万円3枠フル活用の場合

保証付き融資の申請から実行までの7ステップ

ステップ やること 期間目安 ポイント
1金融機関に融資相談1〜3日決算書3期分+資金繰り表を持参
2金融機関が保証協会に保証申込3〜5日金融機関が書類を取りまとめて申込
3保証協会による審査(CRDスコアリング+面談)1〜2週間決算書の評価+事業内容の確認
4保証決定・保証書の発行1〜3日保証料率・保証金額が確定
5金融機関の内部稟議3〜7日保証書をもとに金融機関が最終判断
6融資契約の締結1〜3日金銭消費貸借契約書に署名
7融資実行・入金即日〜3日保証料は融資実行時に一括or分割で支払い

全体で概ね3〜4週間が目安です。制度融資の場合は自治体の窓口を経由するため、さらに1〜2週間かかるケースがあります。

保証料を下げる5つの方法

# 方法 効果 具体的なアクション
1決算書を改善してCRDスコアUP料率区分が下がる(最大1.45%減)自己資本比率・債務償還年数・経常利益率の改善
2自治体の制度融資を利用保証料の一部を自治体が補助東京都の場合、保証料の1/2補助の制度あり
3会計参与を設置保証料率が0.1%引下げ税理士・公認会計士を会計参与に選任
4有担保で申請保証料率が低い担保付き料率が適用不動産担保の提供(担保評価が十分な場合)
5分割返済を選択分割返済係数(0.55前後)で保証料が約45%削減一括返済ではなく均等分割返済で申請

決算書の改善方法は「銀行融資に強い決算書の作り方」で、融資審査の格付けの詳細は「融資審査で落ちる会社と通る会社の違い」をご覧ください。

代位弁済と求償権の仕組み

「保証協会が代わりに返してくれるなら、返済できなくても大丈夫なのでは?」と誤解されることがありますが、それは違います。代位弁済が実行されると、保証協会は企業に対して「求償権」を取得し、代位弁済した金額の全額を企業に請求します。

段階 状況 企業への影響
1. 返済遅延銀行への返済が3ヶ月以上遅延銀行からの督促・信用情報に記録
2. 代位弁済保証協会が銀行に残債を支払い銀行との取引は終了。保証協会が新たな債権者に
3. 求償保証協会が企業に全額返済を請求分割返済の交渉は可能だが、以後の保証利用は困難

⚠️ 代位弁済後の影響は深刻

代位弁済が実行されると、その企業は信用保証協会の「代位弁済先リスト」に登録され、新たな保証利用が原則不可能になります。また、銀行融資も極めて困難になるため、事業継続に大きな支障が出ます。返済が苦しくなったら、代位弁済に至る前に銀行と返済条件の見直し(リスケジュール)を交渉することが最も重要です。

ABL保証(流動資産担保融資保証)の活用

ABL保証は、売掛金や在庫を担保にして信用保証協会の保証を受ける制度です。不動産担保を持たない中小企業でも、流動資産を活用して融資枠を拡大できる点がメリットです。保証限度額は2億円(一般保証とは別枠)で、保証料率は0.68%の一律です。

資金調達の全体像は「中小企業の資金調達方法完全ガイド」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

自社のCRD区分を知る方法はありますか?
CRD区分は直接開示されませんが、保証料率の通知書から逆算できます。例えば、保証料率が0.68%であれば区分3、1.00%であれば区分5と推定できます。また、保証協会の担当者に「大まかな評価」を聞けば、区分番号は教えてもらえなくても「標準的な水準です」「やや高めのリスク評価です」程度のフィードバックは得られます。
創業したばかりで決算書がない場合の保証料率は?
決算書がない場合(事業開始後最初の事業年度で計算書類がない場合)は、CRDスコアリングができないため、区分5の保証料率(1.00%)が適用されるのが一般的です。ただし、創業関連保証を利用する場合は別途の料率体系が適用され、責任共有制度の対象外(100%保証)となるメリットがあります。
保証料は経費(損金)に計上できますか?
はい、保証料は「支払保証料」として全額損金に計上できます。一括で支払った場合でも、保証期間に応じて期間按分して各期の費用に計上するのが正しい処理です。例えば5年分の保証料27.5万円を一括払いした場合、毎年5.5万円ずつ費用計上します。
保証付き融資を借り換えることはできますか?
可能です。金利の低い保証付き融資への借り換えは「保証付き融資の借換保証」として制度化されています。複数の保証付き融資を1本にまとめて返済額を軽減する「条件変更」も可能です。ただし、借り換え時に新たに保証料が発生する点と、借り換えによって保証枠を圧迫しないかの確認が必要です。
個人事業主でも信用保証協会は使えますか?
はい、個人事業主も信用保証協会の保証を利用できます。小口零細企業保証(従業員20人以下・保証残高1,250万円以下)は100%保証で、個人事業主が最も使いやすい制度です。個人事業主向けの融資方法は「個人事業主のための資金調達ガイド」で詳しく解説しています。
セーフティネット保証と一般保証は併用できますか?
はい、セーフティネット保証(5号など)は一般保証とは「別枠」で利用できます。一般保証の無担保枠8,000万円を使い切っていても、セーフティネット保証の別枠として追加で8,000万円の無担保保証を受けられる可能性があります。ただし、セーフティネット保証の利用には自治体の認定が必要です。
保証協会の審査に落ちることはありますか?
あります。代表的な否決理由は、①税金の未納・滞納がある、②直近で代位弁済を受けている、③反社会的勢力に該当する、④資金使途が不明確、⑤実質的に事業を行っていない、の5つです。税金の完納は保証協会利用の大前提ですので、未納がある場合は先に完納してから申請してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 信用保証協会は「銀行融資の保証人」役。中小企業が融資を受けやすくする公的制度
  • 保証料率はCRDスコアリングによる9区分(年0.45〜1.90%)で決まる
  • 区分1と区分9で1,000万円・5年融資の保証料差は約40万円。決算書改善が最大の節約策
  • 責任共有制度:保証協会80%・銀行20%のリスク分担。小口零細企業保証は100%保証
  • 保証限度額は一般枠2.8億円+SN別枠2.8億円+危機別枠2.8億円=最大8.4億円
  • 保証料を下げる5つの方法:CRDスコアUP・制度融資活用・会計参与設置・有担保・分割返済
  • 代位弁済は最後の手段。返済が苦しければリスケ交渉が先

信用保証協会は、中小企業の資金調達における最も身近な公的支援制度です。「保証料がもったいない」と感じるかもしれませんが、保証料は銀行融資を受けるための「信用の証明書」であり、事業成長のための投資です。まずは自社のCRD区分(保証料率)を確認し、次の決算で1段階でも改善することを目指しましょう。

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