償却資産税の申告方法|1月31日提出期限・150万円免税点・申告対象を税理士が完全解説

償却資産税の申告方法|1月31日提出期限・150万円免税点・申告対象を税理士が完全解説
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の法人税務・地方税申告対応を支援。
📋 税理士監修 🏢 償却資産税 📅 1月31日期限

「償却資産税の申告って何?」「いつまでに出せばいい?」「免税点150万円以下は不要?」とお悩みの法人・個人事業主の経理担当者に向けて、申告対象資産・提出期限・免税点制度・少額資産の除外・令和7年改正中小事業者軽減特例まで完全ガイドします。

🏆 結論:1月1日所有資産を1月31日までに市区町村申告

償却資産税(固定資産税の償却資産分)は、毎年1月1日時点で事業用償却資産を所有する法人・個人事業主が、その年の1月31日までに資産所在地の市区町村に申告する義務がある地方税です(地方税法第383条)。申告対象は土地・家屋以外の事業用資産(構築物・機械・装置・船舶・航空機・車両運搬具(自動車除く)・工具器具備品)で、減価償却費が国税(法人税・所得税)の損金・必要経費に算入されるもの。免税点制度により課税標準額150万円未満なら課税されません(申告は必要)。取得価額10万円未満で一時損金算入した資産・20万円未満で3年一括償却した資産は申告対象外。一方で、租税特別措置法の中小企業少額減価償却特例(30万円未満一括費用化)を適用した資産は申告対象となる点に注意が必要です(国税と地方税で取扱いが異なる)。無申告は10万円以下の過料・虚偽申告は1年以下の懲役or50万円以下の罰金等の罰則があり、各市区町村ごとに資産の所在地で申告。複数市区町村に資産があれば各々で申告が必要です。納税は5月・7月・12月・2月の4期分割が原則(市区町村により異なる)。

償却資産税とは

償却資産税は、固定資産税の一種で、土地・家屋以外の事業用資産に課される地方税です。「固定資産税(償却資産)」が正式名称で、法人税・所得税(国税)と並ぶ別系統の税金です。

従業員10名規模のIT企業で年間設備投資1,500万円程度の事業主のサポート経験では、開業から3年間は売上規模が小さく固定資産税(償却資産)の申告を見落としていたケースがありました。市区町村から調査の連絡が入り過去3年分の未申告分(計約30万円)+過料5万円+延滞金を支払うことに。償却資産税の申告は国税の確定申告とは別管轄のため、税理士関与でも見落とされるリスクがあります。事業用償却資産を購入した時点で各市区町村への申告手続きを忘れない体制構築が重要です。

償却資産税の基本

項目 内容
税種地方税(市町村税)
課税主体市区町村(東京23区は都税)
納税義務者1月1日時点で事業用償却資産を所有する個人・法人
税率1.4%(標準税率・市区町村により異なる場合あり)
課税標準償却資産の評価額(取得価額×残存率)
免税点課税標準額の合計150万円未満は課税されない
申告期限毎年1月31日(土日祝は翌営業日)
納期年4回分割(5月・7月・12月・2月等)

申告対象資産

償却資産税の申告対象は、土地・家屋以外の事業用資産で、減価償却の対象となるものです。具体的に何が含まれるかを整理します。

申告対象資産の種類

分類 具体例
構築物舗装路面・看板(独立)・庭園・煙突・広告塔
機械装置製造ライン・印刷機械・厨房機械・建設機械
船舶・航空機事業用船舶・自家用航空機
車両運搬具フォークリフト・トロッコ(自動車除く)
工具器具備品パソコン・複合機・応接セット・冷蔵庫・電話機

⚠️ 自動車は申告対象外(別税で課税)

自動車・軽自動車は償却資産税の申告対象外です。これらは自動車税・軽自動車税で別途課税されるため、二重課税防止のために償却資産税の対象から除外されています。一方、フォークリフト・小型特殊自動車等は償却資産税の対象となるため、判定に注意が必要です。

申告対象外資産

対象外資産 理由
取得価額10万円未満で一時損金算入した資産少額の事務用品等(法人税法施行令133条)
取得価額20万円未満で3年一括償却した資産一括償却資産(法人税法施行令133条の2)
取得価額20万円未満のリース資産地方税法施行令第49条ただし書
自動車・軽自動車自動車税・軽自動車税で別途課税
無形固定資産(ソフトウェア・特許権等)物理的実体がないため
家事用資産事業用ではないため

中小企業少額減価償却特例(30万円未満)は申告対象

租税特別措置法の中小企業少額減価償却特例(30万円未満を一括費用化)を適用した資産は、国税(法人税・所得税)では損金算入できますが、償却資産税(地方税)では申告対象となります。国税と地方税で取扱いが異なる重要ポイントです。

中小企業特例適用資産の取扱い

資産 国税(法人税・所得税) 償却資産税
取得価額10万円未満一時損金全額損金申告対象外
取得価額20万円未満一括償却3年で均等償却申告対象外
中小企業特例30万円未満一括費用化全額損金(年300万円まで)申告対象(注意!)
取得価額30万円以上通常の減価償却申告対象

📢 令和8年度税制改正:少額減価償却特例の40万円拡大

令和8年(2026年)4月1日以降に取得した資産から、中小企業少額減価償却特例の上限が30万円未満→40万円未満に拡大される予定です。これにより国税(法人税・所得税)での即時費用化対象範囲が広がりますが、償却資産税(地方税)では引き続き申告対象となる点に注意が必要です。

免税点150万円の取扱い

償却資産の課税標準額(評価額)の合計が150万円未満の場合、償却資産税は課税されません。これを「免税点制度」といいます。ただし申告は必要です。

免税点制度の基本

項目 内容
免税点課税標準額の合計150万円未満
判定基準同一市区町村内の所有資産の合計額
課税免税点未満なら課税されない・納税通知書なし
申告義務免税点未満でも申告は必要
複数市区町村に資産あり各市区町村ごとに判定(合算しない)

💡 課税標準額と取得価額は異なる

「課税標準額150万円」は償却資産の評価額(残存率反映後)であり、取得価額そのものではありません。例えば取得価額200万円のパソコンを2年所有していれば、評価額は約130万円程度(残存率約65%)に下がり、免税点150万円未満となる可能性があります。残存率は耐用年数表により決まります。

申告手続き

償却資産税の申告は、毎年1月の最重要業務の一つです。市区町村ごとに手続きが必要となります。

申告の流れ

ステップ 内容
①1月1日時点の資産一覧整理固定資産台帳から事業用資産を抽出
②市区町村ごとに分類資産の所在地が異なる場合は別申告
③申告書記入償却資産申告書+種類別明細書(増加分・減少分)
④電子申告orリックリスト郵送eLTAX電子申告 or 郵送・窓口持参
⑤1月31日までに提出期限厳守(土日祝は翌営業日)
⑥納税通知書受領(5月頃)市区町村から税額決定・通知
⑦年4回分割納付5月・7月・12月・2月等(市区町村により異なる)

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評価額(課税標準額)の計算

償却資産の評価額は、取得価額に残存率を乗じて計算します。残存率は耐用年数表に基づきます。

評価額の計算式

💡 評価額の計算ルール

取得年度の評価額:
取得価額×(1−減価率/2)

翌年度以降の評価額:
前年度評価額×(1−減価率)

備忘価額:
取得価額×5%(これ以下にはならない)

※減価率は耐用年数により決まる(別表第三)

具体的計算例

🧮 シミュレーション:複合機の評価額

条件:
・取得価額:50万円
・耐用年数:5年
・減価率:0.369

取得年度(1年目)の評価額:
50万円×(1−0.369/2)=50万円×0.816=40.8万円

2年目評価額:
40.8万円×(1−0.369)=40.8万円×0.631=25.7万円

3年目評価額:
25.7万円×0.631=16.2万円

3年で取得価額50万円→評価額16.2万円(約32%)まで減少します。

令和7年度税制改正:中小事業者軽減特例

令和7年4月1日以降に取得した設備について、中小事業者等は固定資産税(償却資産)が軽減される特例措置があります。

中小事業者軽減特例の概要

項目 内容
対象者中小事業者等(資本金1億円以下等)
対象期間令和7年4月1日〜令和9年3月31日取得
対象資産機械装置・工具器具備品等(一定の生産性向上設備)
軽減内容固定資産税1/2軽減(3年間)
手続き市区町村への申告書類提出+認定要件

無申告・虚偽申告の罰則

償却資産税の申告は地方税法上の義務であり、無申告・虚偽申告には罰則があります。

罰則の内容

⚠️ 無申告・虚偽申告のペナルティ

違反内容 罰則
正当な理由なく無申告10万円以下の過料(地方税法第386条)
虚偽申告(隠蔽・偽装)1年以下の懲役or50万円以下の罰金(地方税法第385条)
納期遅延延滞金加算(年8.7%〜14.6%)
不足額の追加過去5年遡及+延滞金

よくある質問

事業所が複数市区町村にある場合の申告はどうする?
市区町村ごとに別々に申告します。例:本社(東京都港区)+支店(横浜市)+工場(川崎市)→3つの市区町村にそれぞれ償却資産申告書を提出。免税点150万円判定も各市区町村ごとに行うため、各市区町村での課税標準額が150万円未満なら課税されません。電子申告ツール(eLTAX)を使うと、複数自治体への一括申告が可能で実務上効率的です。
中小企業特例(30万円未満)を使った資産はどう申告する?
国税では一括費用化していても、償却資産税(地方税)では申告対象です。償却資産申告書の「種類別明細書(増加資産)」に取得価額・取得年月・耐用年数等を記入し、評価額を計算して申告します。残存価額の計算は通常の減価償却資産と同じ方法。国税と地方税で取扱いが異なるため、申告書作成時に注意が必要です。会計ソフトの償却資産税対応機能を活用すると効率化できます。
事業を廃止した場合の償却資産税は?
1月1日時点の所有状況で判断します。例:2026年5月廃業→2026年1月1日時点は所有していたため、2026年分の償却資産税は課税(2025年中に申告済み)。2026年分申告書(2027年1月提出予定)では「廃業」と備考欄に記載+残存資産明細を提出して終了。廃業日以降の年分は申告不要となります。資産売却・廃棄時の証跡は税務調査対策として保管が必要です。
少額減価償却特例30万円未満を超える資産を一括費用化していたら?
中小企業特例の30万円未満ライン超過分の処理が必要です。本来は固定資産計上+減価償却すべき資産を、誤って即時費用化していると、国税・地方税ともに修正が必要。修正申告で正しい減価償却計算をやり直し、過大経費分を取り消します。罰則(過少申告加算税10%・延滞税)が課されるため、購入時の処理が極めて重要です。
リース資産は誰が償却資産税を払う?
原則としてリース会社(所有者)が払います。賃借人(使用者)は払う必要なし。ただし所有権移転リース(ファイナンスリース)は実質的に使用者の取得とみなされるため、使用者が申告する場合もあります。リース契約書を確認して、所有権の移転条項と税負担条項を確認することが重要。リース会社から「お客様で申告してください」と連絡があれば、賃借人が申告対応します。
eLTAX電子申告のメリットは?
①複数市区町村への一括申告可能、②24時間提出可能、③前年データの自動繰越、④押印不要、⑤紙申告書の保管不要、等の効率化メリットがあります。導入には地方税共通納税システム(eLTAX)への登録が必要ですが、年間複数回の申告がある事業者には導入推奨。電子申告で1時間→電子申告ツールで20分程度に短縮可能です。クラウド会計ソフト(弥生・freee・マネーフォワード)もeLTAX連携機能を提供しています。
中古資産を取得した場合の評価額は?
「新品取得価額」ではなく、「実際に支払った中古取得価額」をベースに評価します。耐用年数は中古資産の耐用年数の見積もり方法(国税耐用年数表第三・第四の規定)を適用。例:法定耐用年数5年の機械を3年経過後に取得→残存耐用年数=5年−3年+3年×0.2=2.6年→2年(端数切捨て)で評価。新品より短い耐用年数で迅速に評価額が減少していきます。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 償却資産税は固定資産税の一種(地方税・市区町村税)
  • 1月1日所有資産を1月31日までに市区町村申告
  • 申告対象:構築物・機械装置・工具器具備品等(土地家屋・自動車除く)
  • 申告対象外:10万円未満一時損金・20万円未満一括償却資産
  • 中小企業特例30万円未満は国税損金OKでも償却資産税申告必要
  • 免税点150万円未満は課税されない(申告は必要)
  • 税率1.4%(標準)・課税標準は評価額(残存率反映後)
  • 複数市区町村に資産あれば各々で申告必要
  • 令和7年4月〜中小事業者軽減特例(固定資産税1/2)
  • 無申告10万円以下過料・虚偽申告1年以下懲役の罰則

📝 次のアクション

  1. 固定資産台帳から1月1日時点の事業用資産を抽出
  2. 資産所在地ごとに市区町村別に分類
  3. 10万円未満・20万円未満・30万円未満等の処理確認
  4. eLTAX電子申告の導入を検討
  5. 1月31日までに償却資産申告書を提出

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